スチールベルトを含めて平ベルトを使用する上で蛇行は避けて通れない問題だと思います。問題点は大きく分けて2つあると思います。
まず1つ目は、装置の問題です。
- 装置に剛性がなく歪が発生したり振動が大きかったり状態が一定でない。→補強をして頂く。
- プーリの形状が正確でない。→蛇行防止プーリのページを参照してください。
- 雰囲気温度が安定しない。→温度が不安定な場合はこまめに点検して頂く。
- ワークの状態が安定しない(積載位置や温度)→ベルトの幅方向に対して片側に荷重がかかる、温度分布が違う、などを避けて頂く。または、ワークを流しながら調整して頂く。
2つ目は題名の通り調整です。ここでベルトの挙動を上げてみます。
- ベルトの張力が高い方が蛇行に対する反応が良い。安定しやすい気がします。しかしベルトの変形が早くなる可能性があります。
- ベルトは張力が弱に方向によって行く。張力差が小さい場合はある部分で安定します。(安定しやすくするためにクラウンをつけています。)
- 温度が変化するとベルトの挙動が変化します。特に高温のワークを乗せたとき。)
- 軸間距離÷ベルト幅の値が小さいと調整が難しくなります。
ここまで説明した所で本題に入りたいと思います。
調整の手順は、
- ベルトに張力をかけていきます。この時ベルトの両端が均等に引張れる様にします。(機構にもよりますが片側2~5mm毎に張っていくイメージです。)
- 最初は張力が弱い状態から調整し始めます。(プーリ部分でベルトが膨らんでいてゆとりがある状態です。)
- この時の張力が下記に該当する場合は問題がなくなるレベルまで張力を上げてください、
- ワークを搬送する上で問題になる膨らみの状態
- ガイドなどに当たる。(ガイド側の調整もお願いします。)
- ベルトが滑る。
- ベルトの両端が均等に張れているか確認します。(リターン側のベルトのたわみが両端で均等かどうか。)
- 安全を確認してゆっくりベルトを回転してください。(大体100mm/sがいいと思います。)
- 5分くらい様子を見てほとんど蛇行しない場合はベルト速度を上げていきます。(この状態で蛇行するようならこの速度で調整します。)
- ベルトの両方で張力を調整すると全体の張力が変わってしまうので片側のみで調整します。(両方で調整すると気付いた時にはベルトがパンパンの状態になっていることがほとんどです。)
- ベルトが調整している側に来る場合は張力を強くします。逆に離れて行く場合は弱くします。
- 蛇行する速さや量によって変える張力は違いますが、最終的には軸間距離で0.2mm位での調整になります。(M6やM8のボルトで調整している場合は60°位の回転範囲です。)
- ベルトがプーリのどの位置にいるかは気にしないで一定の位置で安定する張力を見つけてください。
- 安定させることが出来たら30分位一定の位置にいるか確認してください。
- この時10.で無視したベルトの位置が気になる場合は軸間距離で0.01mm位の調整をします。(M6やM8のボルトで調整している場合は2~3°位の回転範囲です。)
- これくらいの張力の変化であればベルトは移動して止まります。
- この後は定期的にベルトの位置を確認してください。1時間後、3時間後、終業時位の感覚です。その後は一日に一回位は確認してください。
スチールベルトの蛇行調整の感覚は、その他のベルトに比べて反応が良いのでフラフラしているように感じますが、その分安定するのも早いです。
もし蛇行調整で疑問がある場合はメールをお送りください。